活動レポート:
こども映画教室® CCAJ2025-26
「映画、100歳の青春(Le Cinéma, Cent Ans de Jeunesse)」は、これまで世界23か国以上のこどもたちが参加してきた、フランスの国際的映画教育プログラムです。プログラムを監修するのはフランスの映画教育の第一人者であるアラン・ベルガラ氏。毎年、ベルガラ氏が1つのテーマを設定し、こどもたちはそのテーマにそった古今東西の名作を鑑賞し、短編作品を制作。最後にはドイツの上映会場に各国からこどもたちが一堂に会し、それぞれの作品を発表し合います。今回は早川千絵監督(『ルノワール』『PLAN 75』)を特別講師に迎え、11日間の映画制作ワークショップを開催しました。
主催:一般社団法人こども映画教室®
協力:株式会社ダゲレオ出版
助成:子どもゆめ基金助成事業(独立行政法人国立青少年教育振興機構)
目次
ワークショップ 1日目
2026年1月10日(土)
CCAJ1日目がはじまりました。
特別講師はちえちゃん(早川千絵監督)です。ちえちゃんが監督した映画『ルノワール』を観てくることと、「私の"ここ"」をテーマに3カットのドキュメンタリーを各自で撮ってくることが今日までの宿題でした。

午前中は『ルノワール』を観て分からなかったことを付箋に書き出し、話し合いました。そのあと、宿題の映像をひとりずつ見ていきました。

午後は撮影の拠点となる渋谷の街をロケハンを兼ねて散歩。拠点に戻り、さまざまな映画のなかから、“ここで生きている/暮らしている"ことを現しているシーンの抜粋を鑑賞し、ちえちゃんから解説をしてもらいました。

ワークショップ 2日目
2026年1月11日(日)
午前は課題②「移動:ここからよそへ。日常から非日常へよそよそしい世界へ」を撮る。

『ルノワール』と『友だちのうちはどこ?』(アッバス・キアロスタミ監督)の抜粋を観て、それぞれに感じたことをメモ。そのあと3チームに分かれて、この2つの抜粋の共通点を考え話し合い、発表しました。

午後は2チームに分かれ、昨日ロケハンしてきた写真を見てそれぞれのロケ地をだいたい決めて撮影に出かけました。きれいに晴れた寒空の下、2時間程撮影。手と鼻の先を真っ赤にして撮影から戻ってきたみんなが頼もしかったです。

ワークショップ 3日目
2026年1月12日(月)
朝、今日も晴れて青空です。昨日、赤、青チームがそれぞれに撮ってきたもののラッシュを時間をかけて観ました。お互い、感想や疑問などを伝え合います。チームワークなしに映画は作れない、自分1人より一緒に作る人たちのアイディアがあってより作品が豊かになる、そんな話を特別講師のちえちゃんがしてくれました。

午後は撮影へ。話し合いがまとまらずなかなか撮影に出られないチームもありましたが、何とか16時までに戻り、編集。

終了時間ギリギリに2チームとも完成させて上映。課題2を完成させました。次回は2週間後、課題3に入ります。

ワークショップ 4日目
2026年1月24日(土)
今日からのメンバーやスタッフも加わり2週間ぶりの再会。
午前は『パターソン』(ジム・ジャームッシュ)と『PERFECT DAYS』(ヴィム・ウェンダース)の抜粋を通して、ある人の「ここ」と頭の中で結びつく「あそこ(よそ)」という課題について考え、それぞれメモを書く。

その後3グループに分かれ、持ち寄ったメモを分類しながら2つの抜粋について話し合い、発表した。

昼食後は2チームに分かれて、今日明日で最大2分の映像を撮る。課題に即して何をどう撮るのか話し合い、何はともあれ街に繰り出す。今日も寒い!

ワークショップ 5日目
2026年1月25日(日)
赤、青のチームに分かれ、昨日撮ったものをみんなで鑑賞。

その後、それぞれ渋谷のスクランブル交差点や、高速道路のトンネルなどの場所をうまく使って課題である、「誰かの頭の中にある”よそ”」を描くことに挑戦しました。

音、音楽、光などを意識してまったく違う2本の課題作品ができあがりました。時間を少しオーバーしましたが上映会までやり遂げました。次回はついに本編へと突入です。

ワークショップ 6日目
2026年2月14日(土)
3週間ぶりの映画教室です。この時期にしては暖かい陽気。
午前中、前回、ちえちゃん(早川千絵監督)からみんなに出された宿題として、それぞれが撮ってきた「自分にとっての“よそ”」をひとつずつ観て、気づきや感想を伝え合いました。これから作る映画にとって大切なキーワードがたくさん出てきました。

その後アッバス・キアロスタミ監督の『友だちのうちはどこ?』の抜粋を観て、“ここ”から“よそ”への移動がどう演出されているのか考えました。 そしていよいよ、今年のCCAJのテーマ“Un pas de côté(一歩横へ)”が発表され、最大10分のフィルムエッセイの制作に取り掛かります。これまで取り組んできた課題1〜3の撮影で得たものが存分に活きてくるはずです!

撮影やお話づくり、出演などおおまかに役割を決めたあと、大人は席を外し、こどもたちだけで1時間半じっくりとどんな映画にしたいか話し合いました。明日からは撮影が始まります!一番大変で一番楽しい時間!

ワークショップ 7日目
2026年2月15日(日)
今日からは制作に向けた実践へと動き出します。そのためにまずは全員で近くの公園へ行って、それぞれがその場で撮りたいと思ったものを自由に撮ってみようということに。みんなはただただ思いつくまま好き勝手にカメラを回していたものの、夢中になって撮っていくなかで、何だかここがみんなにとって重要な場所になりつつあるようでした。実はこの時に撮ったものが、このフィルム・エッセイを進めていく原動力となった「主人公が太陽を見ながら光と影を行ったり来たりする」というカットだったのです。

そんなおぼろげながらも、みんなで何かのイメージをつかんだ感触を得たのちに、午後からは「お話しづくりチーム」と「テスト撮影チーム」に分かれて作業となりました。撮影チームは「女の子が不思議な少女と出会う」というシーンを、階段の段差をうまく使って、撮影の練習に挑みました。

一方、お話しづくりは「メガネを失くす」という物語を軸に掘り下げていきました。みんなやっとエンジンがかかってきたようです。次回はいよいよ本編の撮影でしょうか!?

ワークショップ 8日目
2026年2月21日(土)
本日から本格的に本編の撮影が始まります。
午前中はみんなで作品の細かいストーリーを話し合い、主人公を決めました。

午後にはみんなで公園へ行き撮影開始。作品の冒頭のシーンをいくつか撮りました。

今日撮影したカットは明日鑑賞することに。どんな映像が撮れたのか楽しみです。CCAJも残すところあと3日です。明日も頑張りましょう。

ワークショップ 9日目
2026年2月22日(日)
昨日から始まったフィルムエッセイの撮影。今日は、昨日撮影した映像を見るところからスタートしました。
課題である「横への一歩」を表現するためには、物語をより細かく考える必要がありそうです。

そこで物語を考える班と撮影を進める班に分かれることに。物語班は、この日来てくださった諏訪敦彦監督からもアドバイスをもらいながら、作品全体のストーリーを考えました。さらに主人公の他にもう一人の出演者も決定。

午後にはその設定をもとに、主人公が見知らぬ人と出会うシーンの撮影を行いました。カメラ・マイク・カチンコの役割を交代しながら撮影を進めていきます。全員で一つの作品を作っていく難しさを感じつつも、作品作りは着実に進んでいます。しかし、完成までにはまだまだやるべきことがたくさん!がんばれ〜。

ワークショップ 10日目
2026年2月23日(月)
今日はロケハンチームとお話作りチームに分かれ、同時並行で映画作りが進んでいきました。

まずロケハンチームの見つけた陸橋の上から下を見下ろすと去っていく友達が人混みに消えていくようでおもしろいということになり、いざ撮影に。去っていくタイミングやピントのズラし方など、何度も工夫して納得のいく撮影ができました。

その熱い気持ちを維持したまま次は急いで公園へ。お話作りチームが考えてくれた脚本を元にどう動けばいいか芝居を丁寧に練っていきます。終わりの時間が迫る中でも 1 カットずつじっくり考えて公園という空間を存分に活かしたシーンが撮れました!次はいよいよ最終日です!

ワークショップ 11日目
2026年2月28日(土)
11日間にわたるCCAJも今日が最終日です。 まずは昨日撮った映像をみんなで確認することに。これまでに撮った映像を見ることで、この映画にはどんなシーンが足りていないのか、この素材を使ってどんな編集ができるのかを話し合いました。

午後からは撮影班と編集班に分かれて制作へ。少ない時間の中でも納得のいくカットが撮れるまで試行錯誤を重ね、なんとか撮り終えることができました。最後にはみんなで編集作業へ。タイムリミットぎりぎりまでみんなで話し合い、ついに作品が完成しました。

上映会では出来立ての作品をお披露目し、舞台挨拶もしました。
一人一人がお互いを尊重し、全力で映画作りに望んだからこそ素晴らしい作品が完成したのだと思います。12人それぞれの個性が輝いた11日間でした。お疲れ様でした。

早川千絵監督からスタッフへ
上映会後に特別講師の早川千絵監督からいただいた、スタッフ宛てのメッセージです。ご本人の了承を得て掲載します!
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大人チームのみなさんがいつも絶妙なバランスと匙加減で子供達をサポートしているのを見てすごいなあと感心していたのですが、子供のみならず、不慣れな講師の私のことも暖かく見守りつつ、助けてくださり本当にありがとうございました。みなさんのお陰で安心してCCAJに参加することができました。
子供達が軽やかに試行錯誤する姿にも刺激を受け、産みの苦しみをなんとか粘って乗り越えたら、こんな奇跡が待っているのか!とすごく勇気づけられました。
参加して本当に良かったです。
ありがとうございました!
早川千絵


